簡単な内容説明
現在手持ち資金の余力が潤沢にあるので、何か面白そうな投資先はないか
個別株分析をしています。そんなときにちょうど今回のIRを発見して
興味が湧いてきたので記事にしようと思いました。
なぜ興味を持ったのかと言うと、単純に株価がTOB価格の1010円にサヤ当てせず
900円台前半で推移しているからです。
今回のTOBについては11/9に発表され、建設業の人手不足の課題に対応するため
建設業に残業規制が適用される「2024年問題」が背景にあると言われています。
中堅ゼネコンのPS三菱も例に漏れず慢性的な人手不足が課題となっていました。
PS三菱側のメリットとしては、建設業界大手5社の1つである大成建設とのTOBは
技術力が高く評価されているPS三菱の橋梁事業の実績に大成建設のネットワークを
合わせることで建設業の人手不足解消に一役買うものと思われます。
建設業の2024年問題とは?働き方改革が求められる背景と取り組むべきこと|建設業の2024年問題とは?働き方改革が求められる背景と取り組むべきこと (kensetsu-kaikei.com)
では話を少し戻して、なぜ今回のTOBがTOB価格の1010円にサヤ当てせず
900円台前半で推移しているのか?調べていると・・・・
PS三菱の株式を過半数の50.2%なので、数字上全ての株主がTOBに応募した場合
1010円で買い取ってもらえる確率が理論上50%強である。株式の買付予定数が充足すれば
TOB終了でその後株価が急落するのが濃厚なため、株価が1010円になるまで静観できずに
TOB買付が終了しないうちに早めに利確してしまおうという株主が多いのが理由と思われます。
大成建設側の事情
PS三菱側のメリットは前述で説明しましたが、大成建設側がPS三菱のTOBに踏み切ったのは
なぜでしょうか?
大成建設は8/7に発表した1Qの決算で、経常利益が約44億円の赤字だったと発表しました。
(決算で最終赤字は11年ぶり)
原因は世田谷区役所の工期遅延による損失や今年3月に発生した札幌市の高層ビル建設
施工不良問題の追加工事で想定外に人手が取られたことで、他の複数の建築工事にも
損失が出ていることが主な要因となっている。
↓
「大成建設ショック」再び、建設業界が警戒する”負の連鎖”|会社四季報オンライン (toyokeizai.net)
現在の大成建設はこのような内情であるため、日本国内の建築工事部門が行き詰まった状態で
ウルトラCの打開策として考えられたのが今回のPS三菱子会社化です。
ではPS三菱とのTOB成立でどのようなシナジーを期待しているのか?
それは数十兆円にのぼるウクライナ復興予算のガイドラインが近い将来具体化することを
視野に入れた事業競争力の強化を狙ってのものだと思われます。
大成建設は災害復旧事業において国から大型案件を受注してきた実績がある企業です。
(巷では菅義偉元首相のご子息が大成建設に勤務しているので国とパイプがあるとも言われています)
そこにウクライナ復興に必要なインフラ復旧工事を受注する下準備として、橋梁や道路工事に強い
PS三菱を子会社化することでウクライナ紛争で破壊された橋や道路の復旧事業の入札において
他の大手ゼネコンより競争優位性があることをアピールできます。
最後に
今回のTOBに対してPS三菱の株主には色々な見方があるようです。
①TOB成立後PS三菱は上場廃止になるのではなく、引き続き上場を継続することや
TOB発表前のPS三菱の時価総額が350億にかかわらず、TOB買収額が200億超と
少ないことに大成建設の意図を訝しがる声
②11/9に発表されたPS三菱の決算が事前の会社発表の予想より経常利益が
大幅に上回った。よって本決算での上方修正やそれに関連しての
増配や自社株買いを期待してTOB価格で売却せずホールド継続するという声
(11/9の決算同日に発表されたTOBに配慮して、上方修正発表を見合わせた可能性があり
TOB成立後の上場継続開始からしばらく後の来年5月に通期決算で上方修正と考えている)
こうした事情もあり、TOB価格より株価が上がっていく可能性があると考える株主も
いるようです。
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