本題に入る前に、「ベアETF」とは
何かを説明しようと思います。
「ベアETF」は通常の市場の動きとは
逆の動きをします。
例えば、米国株の半導体に3倍の
レバレッジをかけたベアETFである
SOXSは、SOXLに構成されている
半導体銘柄が下がった場合は
SOXSは上がります。
(SOXSと反対の動きのETFがSOXL)
なおこの記事で説明するベアETFとは
レバレッジ入りの米国株ハイテクのことで
レバレッジがかかっていない1倍の
ベアETFは対象外とする。
米国株のベアETF(TECS・SOXS)はなぜ危険なのか?
ベアになじまないNASDAQ長期チャート
まず大前提として押さえておきたいのが
米国株の成長を牽引するハイテクの
総合指標であるNASDAQは短期的な
下落はあっても、10年~20年単位
あるいはそれ以上の時間軸のスパンでは
右肩上がりで上がり続けるということです。
下の図は1990年以降のNASDAQの
チャートです。
![](https://yukuri-fire.com/wp-content/uploads/2024/01/DSC_0137-768x1024.jpg)
NASDAQ総合指数(ナスダック総合)
(NASDAQ Composite Index)
【IXIC】の株価チャート – 株探(かぶたん)
|米国株 (kabutan.jp)
TECS・SOXS の恐るべき実態
このようにアメリカの先進ハイテク企業を
包含しているNASDAQは右肩上がりで
上がり続けています。であれば・・・
①NASDAQのハイテク企業の中
でも特に優れた業績と安定した成長を兼ね
備えている企業を構成銘柄とするTECLの
ベアETF版であるTECS
②21世紀の米国のイノベーションの推進力と
なっている半導体の主要企業を構成銘柄と
しているSOXLのベアETF版であるSOXS
の長期チャートはどうなるかお察しの通りです。
Direxionデイリー半導体株ベア3倍ETF
(Direxion Daily Semiconductor Bear
3X Shares)【SOXS】の株価チャート –
株探(かぶたん)|米国株 (kabutan.jp)
Direxionデイリー・テクノロジー株ベア
3倍ETF (Direxion Daily Technology
Bear 3X Shares)【TECS】の株価チャート
– 株探(かぶたん)|米国株 (kabutan.jp)
今から15年前は4000000とか20000000の
ような途方もない株価ですね・・・・
それが現在は1桁です。
基本レバレッジをかけたベアETFはハイテク株
だけに限らず、「減価」という共通の現象が
あります。このためベアETFは長期的なスパン
では下がっていく傾向があります。
「減価」の意味は下記リンクを参照。
逓減とか減価って何? / 大和アセットマネジ
メント株式会社 (daiwa-am.co.jp)
TECSやSOXSは「減価」の影響で下がりやすい
のに、その上NASDAQの右肩上がりの長期
トレンドが重なるので、相場の判断で裏目を
引いてしまうと1年以上の塩漬けは助からない
危険性があります😰
それでもベアETFに投資したくなったら?
どのようなときにベアETFに興味を持つのか?
米国株は取引のたびに手数料が
かかります。そのため
米国株投資だと・・・
・上昇トレンド以外のとき、高配当株投資や
個別株を薄利で利確するしかないのは
割に合わない。
・だから大きく利益を狙えそうなレバレッジが
かかったベアETFに投資したくなる
という声もあると思います。
米国債ETF TMF・TMVという存在
そこで米国株ではなく米国債のETFである
TMF・TMVに着目します。
TMFについては過去の記事があるので
下記を参照してください。
【米国株】TMF 買い場到来か!?(前編)
【利下げ開始】 – 阪神ファンのFIREブログ (yukuri-fire.com)
【米国株】TMF 買い場到来か!?(後編)
【利下げ開始】 – 阪神ファンのFIREブログ (yukuri-fire.com)
もう一方のTMFとは反対の動きをする
米国債の3倍ベアがTMVです。
TMFと反対の動きということは
TMVは利上げ局面や長期金利が上昇
しているときに株価が上がる
ベアETFですね。
Direxionデイリー20年超米国債
ベア3倍ETF (Direxion Daily
20+ Year Treasury Bear 3X Shares)
【TMV】の株価チャート – 株探(かぶたん)
|米国株 (kabutan.jp)
TMVは取引が開始された2009年以降
リーマンショックやコロナショックの
影響もあって、2021年までは利下げ
局面・金利横ばいが多かったです。
そのため直近までは右肩下がりで
下落していましたが、2022・2023年の
利上げ局面は上昇トレンドに転じています。
![](http://image.moshimo.com/af-img/0032/000000000629.gif)
TMF・TMVの実践的な投資法
TMFとTMVを使い分ける投資法は
TMFの過去の記事でも言及した
Fed Watchツールを使用することで
可能になります。
Fed WatchツールでFRBが正式に利上げ
(または利下げ)発表する前に利上げ
(利下げ)気運が相場の空気として
高まっていることが読み取れます。
この方法を駆使して、FRB正式発表前に
相場の気運を見てTMF or TMVに投資を
する。そして、FRBが正式に発表してから
1週間くらいでTMF or TMVを売却する。
こうした投資法であればレバレッジが
かかったベアETFのTMVでもある程度
安全に投資ができます。
補足
TMFの過去の記事があるので
前置きの説明を若干省略しましたが
TMF=利下げ局面で株価が上がる
(例えばリーマンショックやコロナ
ショックのようなリセッションが発生。
FRB緊急利下げ正式発表前後で
株価が大きく上がる傾向)
TMV=利上げ局面で株価が上がる
(直近の相場のように大きく利下げ
した影響で、金余りの超好景気。
そのため長期金利&物価が急騰したため
インフレを抑えるため急ピッチの利上げ。
FRB利上げ正式発表前後で株価が上がる)
という構図を念のため書いておきます。
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